あるレクチャー。偶然とはこのことだろう。恭祐さんが、またとない有意義な案件に行き当たり、取り組むことになった。立体的・四次元的に取り組み、幸せになってほしい。
アイトワと似た地形の大きな土地。そこで住まってきた素敵な家族。その家族の念願。それは、複数の幼児を「未来からの留学生」として育てたい。こうした願いを持ちつづけてきた家族と触れ合う機会に恵まれたという。
だから、私の5歳の終わりごろの思い出と、この土地がアイトワに至った歴史を深く学びたくなったようだ。私の人生の大きな転換点は、ほんの2時間ほどの間に、決定的に異なる環境AからBに移行した体験だ。Aは都会で、知人に取り囲まれ、経済的物的に何一つ不自由がない暮らし。母は家事に勤しみ、父の臭いがあった。移行したBは、山の木が1本1本見える山裾の隠れ里で、知人は一人もなく、経済的、とりわけ物的にとても事欠く暮らし。しかも母子家庭になった。だが、生きものはペットだけのAと違い、野生の動植物との共生になった。家の主の青大将がいたなど。母は、悲鳴をあげながら、形相を換え、農業に取り組み、子どもの世話などできなくなった。
この一転が私を変えた。この転換した意識が今の私の始まりだと思う。だから、アイトワに結び付いたのだと思う。この歴史を恭祐さんは体験的に学びたいようだ。