妻の初寝坊。
これは私の罪滅ぼし
父を失うまでの20年ほど、妻は睡魔との戦いだった
とりわけ商社時代。1番電車で出掛け、終電で帰ることが続く
朝は4時台の野菜の収穫、5時半に私を起こす
昼は、母の目と、母がいいつける用事が重なり、キリキリ舞
夜は私を待っての夕食と、寝酒のお酌
決まったように日曜日、バランスを崩した
ある凍てる朝
いつものごとく嵐山駅まで、自電車の2人乗り
行きは下りで7分ほど。帰りは誰も居ない道を、妻は一人で10数分こぐ
深夜に帰宅すると、今朝の嵐山は綺麗かった。毎日変わるノ
雪や雨の日もあった。妻は私の長靴を下げて、歩いて帰る
朝靄(もや)が、ある朝は雪景色が、と声を震わせた
やっと、勤めを終えた
だが勤め人の癖か、いや歳のせいか
今も5時に目覚める
そろりそろりと起き出し、ソーっと寝室を去る
ごめん! と妻は、時には8時近くの朝の挨拶
私はニンマリ、これは私の罪滅ぼし
長生きしなくては