今年のハマグリ。三が日の食事は例年、夕食時に、大きなハマグリが2つ入った吸い物か、ギンナンとユリネが必ず入った茶わん蒸しの何れかがつく。
香りはもとより、味に至っては、まるで別もの。行き着けの店にはこれしかなかったらしい。これは今年の例外か。来年の楽しみが1つできた。
それでなくとも、1年がだんだん短くなる感じ。これは1年を遅らせるのか早めることになるのか。まともなハマグリ恋しさは、1年が長くさせるのか、短く感じさせるのか。来年の今ごろの楽しみだ。その昔、「はーやく来いこいお正月」と1日千秋の思い出で歌ったが、そのころの暮れを思い出す。
朝は雑煮がつく。元日は白みそ雑煮と決まっていり。近年は三が日の間に澄まし雑煮も出るようになった。
母のいるころから「出ていました」と、妻は言う。私は澄まし雑煮が好きだから、好きにさせている。
その代りに、三が日以降の白みそ雑煮が増えたように思う。妻はとりわけ、ある友人から何十年来頂いてきた白みそを、大事に活かした白みそ雑煮が好物だ。そのみそが切れた時は、「今朝でオシマイ」と必ず口ずさむ。
三が日の朝夕は、いつも酢のものとカズノコで食し終え箸をおく。
カズノコは、母から引き継いだ伝統の漬け方。昼は安倍川餅。きな粉餅と、焼いて醤油をつけ、ノリで挟んだ2種。これまでは各2個だったが、今年は1個半ずつになった。
かくのごとく三が日を過ごすが、もう1品今年も添えたものがある。睨み鯛。母は正に睨み鯛にしたが、妻は三が日の間は冷暗所に置きっぱなし。三が日が明けた夕食時に可愛い姿をデビューさせ、温め、一晩で片付いた。
わが家の歳時記も、妻流に、少しずつだが様子を異にしてゆく。いつしかナマコの酢のものが消え、今年はレンコンの酢の物がなかった。忘れたのか、高かったのか、私の歯をおもんばかったのか、まだわからない。